消化器内科
急性虫垂炎
俗に「盲腸」あるいは「盲腸炎」といわれるものです。
実際には(大腸の一部である)盲腸に連続している虫垂が炎症を起こす病気です。
10~30歳の比較的若い世代に多くみられ、一生のうちの7%の人がかかるといわれています。
虫垂は右の下腹部にありますので、この部位の激しい痛みや嘔気、嘔吐、発熱などが典型的な症状です。
右下腹部が痛むのに先立って上腹部痛(胃の痛み)が出現することもあります。
虫垂の内腔に糞石という便の固まりがつまったり、リンパ組織が増生すると炎症を発症します。
診察すると右下腹部の狭い範囲に強い痛みのポイントがあるのが特徴です。
ただし、大腸憩室(⇒参照)に便が詰まって炎症を起こす憩室炎でも同様の所見を認めることがあります。また、その他の腸の病気や婦人科的炎症性疾患、尿路結石などとも鑑別する必要があります。
最近ではCT等の画像診断により正確な診断がつくようになっています。
軽症の場合は抗菌薬で抑えることもありますが、炎症がある程度以上の場合は手術を行います。
19世紀頃は死亡率50%超の「怖い病気」でしたが、その後の手術や抗菌薬の進歩により現在の死亡率は1%以下です。
が、治療が遅れると腫れた虫垂に孔が開いて腹膜炎など重篤な合併症を起こすことがあります。
上記のような症状がある場合は、「たかが盲腸」というのではなく早めに医療機関を受診することをお勧めします。