消化器内科
味覚障害と亜鉛欠乏
味覚の障害の原因には次のようなものがあげられます。
- 唾液に溶解した味物質が舌の表面に達する経路の障害
舌の炎症や、舌苔の付着のほかブラシでこすったりすることによる外傷など - 舌の表面の味覚を感じる細胞の障害
亜鉛の欠乏など - 味覚を中枢神経に伝える神経の障害
中耳炎、頭部外傷などのほか糖尿病、肝障害、腎障害、鉄欠乏性貧血など全身性疾患による神経の障害 - 味覚を認知することができない心因性障害
ストレス、神経症、うつ病など
この場合は舌痛症、ドライマウスなどを伴うことが多い - 嗅覚低下のよる風味障害
2.の亜鉛欠乏についてもう少し説明します。
舌の表面の上皮細胞には亜鉛が多く含まれており、この細胞の新陳代謝のためには亜鉛が必要です。
亜鉛は肉(牛肉、鶏肉、豚レバーなど)、魚介(牡蠣、あわび、するめなど)、種実、穀類などに含まれていますので、通常の食事を摂っていれば欠乏することはあまりありません。
血中の亜鉛は血液検査で測定することができます。
60-130㎍/dLが基準値です。
以前は60-80㎍/dLを潜在的亜鉛欠乏としていましたが、最近では80㎍/dL未満をすべて亜鉛欠乏とすることになりました。
亜鉛欠乏の症状は味覚障害のほかに、顔面や会陰部の皮疹、口内炎、脱毛、爪の変形などがあります。
ポラプレジンクという胃の薬に亜鉛が含まれているので、この薬を処方することがあります。