消化器内科
胆嚢ポリープおよび胆嚢腺筋症
胆嚢ポリープ、胆嚢腺筋症とも多くの場合自覚症状はありません。
健診で腹部エコー等を行った際、偶然に発見されることが多い疾患です。
胆嚢ポリープは胆嚢の内側にポリープ(隆起したもの)ができる疾患です。
もっとも多くみられるのはコレステロールポリープです。
胆嚢は肝臓で作られた胆汁を貯留する臓器で、胆汁は胆嚢のなかで濃縮されます。
胆汁の主な成分はコレステロールと胆汁酸ですが、このうちのコレステロールが変化して固まったものがコレステロールポリープです。
コレステロールポリープは10mm以下のものが多く、腹部エコーの所見である程度は判別できます。
このほかにも粘膜が過形成した過形成ポリープや炎症に伴ってできる炎症性ポリープなどがあります。
以上のものはいずれも良性疾患ですが、問題になるのは腫瘍との鑑別を要するケースです。
大きさが15mmを超えるものや、明らかに増大するものは良性腫瘍(線種)や悪性腫瘍(がん)の可能性があります。
また、胆嚢内に結石(胆石)がある場合は腫瘍が起こりやすい傾向があります。
胆嚢腺筋症はアデノミオマトーシスともいわれるもので、腹部エコーでは「胆嚢の壁が厚い」という所見でみつかります。
胆嚢の慢性の炎症により壁が厚くなることによりできるものだと考えられています。
ほとんどの場合は心配するものではありませんが、この場合も胆嚢がんとの鑑別が問題になります。
胆嚢ポリープおよび胆嚢腺筋症の多くの場合、腹部エコー等を定期的に行うことにより「大きさや形に変化がないか」ということを観察することが必要です。
がんの存在が否定できないケースでは胆嚢摘出術が行われることがあります。
胆嚢摘出術は多くの場合、侵襲の少ない腹腔鏡手術で行うことができます。