内科
結核
結核はご存知のように結核菌による感染症です。
約70%は肺結核ですが、皮膚、骨、腎臓、消化管、神経など全身のあらゆる臓器に発症することがあります。
日本における結核罹患率は人口10万対11.5で減少を続けていますが、いまだに年間1万4千人の患者発生があります(2019年)。
70歳以上の高齢者が新規結核患者の59.8%と半数以上を占めています。
また、外国出生患者が10.7%で特に若い世代で多く、その中には海外からの旅行者も少なくありません。
コントロールされていない糖尿病、リウマチなどの自己免疫疾患、ステロイドや免疫抑制薬投薬中などでは重症化することがあります。
肺結核の主な症状は他の呼吸器感染症と咳、痰などの呼吸器症状ですが、咳が2週間以上続く場合は結核の可能性を考慮することが必要です。
体重減少や全身倦怠感を伴うこともあります。
高齢者や乳幼児の場合は症状がはっきりしないことも少なくなく、診断が遅れてしまうことがあります。
結核は空気感染でヒトからヒトへ感染します。
感染症法で2類感染症に指定されているので、発見次第医師は発生届を保健所に届ける必要があります。
胸部レントゲンなどが診断のきっかけとなりますが、喀痰や胃液などから結核菌が証明されることで診断されます(細菌培養のほかPCR検査があります)。
また、インターフェロンガンマ放出試験という血液検査も最近では行われています。
抗菌薬を複数組み合わせて使うのが通常の治療です。
治療するのは本人のためだけでなく、家族など周囲に感染を広げないためでもあります。
入院するのも隔離のためですので、ほとんど症状のない若者でも入院治療となる場合もあります。